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殻長が40cm以上にもなる大きなホラ貝
体全体を殻の外に出して移動するホラ貝
貝の蓋が本体後方あるのが分かる
変形自在の体をめいっぱい伸ばすホラ貝 |
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その美しい外観から、古来より民芸品や楽器として、世界中で親しまれてきたホラ貝。日本でも鬼を祓う神聖な楽器として、山伏などにより使用されてきました。英名はトリトンズ・トランペット。トリトンは、ギリシャ神話に登場する海神ポセイドンの子供で、ホラ貝を奏でることにより、波を自在に操る海の神様。ハワイ島コナでは、この神様の楽器が海中を動き回る姿を見ることができます。
ホラ貝は殻長が40cm以上にもなる大きな貝ですが、海中では岩と同じ色をして隠れているので見落とし易く、危険を感じると殻に閉じこもり蓋をしてしまうため、その本体を見た事のある人は意外と少ないのではないでしょうか?ホラ貝は殻から出る時、まず蓋の隙間から触角を出して辺りをキョロキョロとうかがいます。触角は黄色と黒の派手な縞模様で、人間の指ぐらいの大きさがあり、その付け根に点のような小さな目がついています。
周囲の安全が確認できると、今度は顔をニュッと出してきます。ホラ貝の顔と体は、スライムのように変形自在で、人間のヒジから手の平ぐらいの長さまで伸ばすことができ、その伸びた部分を上手に使って、隣の岩に渡ったり、餌を捕らえて食べたりします。大きく派手な縞模様の角に小さな目、グニャグニャと動く顔は、とてもユーモラスで見ていて飽きません。
体全体を殻の外に出したホラ貝は、器用に岩の間を渡り歩きながら餌を探し始めます。その姿は、まさに巨大なカタツムリ。この時、初めて貝の蓋が本体のお尻部分に付いているのが分かります。ホラ貝はウニやヒトデが好物で、大きなオニヒトデやマンジュウヒトデ、パイプウニまで食べてしまいます。
ホラ貝がウニやヒトデを発見して近づくと、危険を察知したウニやヒトデは全速力で必死に逃げます。命がけで逃げるウニやヒトデと追うホラ貝の攻防は、水中に緊迫感が走る迫力のシーンです。結末が気になるところですが、相手はウニ、ヒトデ、貝なので本人達は必死でも、その最高速度はカタツムリほど。結末を見届けるには、かなりの根気と時間が必要なようです。
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