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ダイバーと一緒に泳ぐチョウチョウウオ達
写真はチョウハンの群れ
ハワイアン・サージャント(ハワイ名:マモ)
岩に付着した紫色の卵を守るのはオスの仕事
チョウハンの群れに囲まれながら、
単身で卵を守るハワイアン・サージャント |
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ALOHA!アライグマのような顔が愛らしいチョウハンとレモン色が美しいミレットシード・バタフライフィッシュ(ハワイ固有種)。ハワイ島には、これらのチョウチョウウオが群れをつくり、ダイバーを取り囲んで泳ぐ場所がいくつかあります。透明度の良いブルーの水中を泳ぐダイバーと黄色い魚達の姿は、とても絵になる美しい光景です。
でもなぜ彼らは、群れをつくりダイバーについて来るのでしょうか?そこには、「魚の世界」を生きるための知恵が隠されています。彼らがダイバーと一緒に泳ぐ場所には、ハワイアン・サージャントというオヤビッチャによく似たハワイ固有のスズメダイが生息し、一年を通して定期的に産卵を繰り返し、岩に産み付けた卵を守っています。彼らは、この卵を狙うハンターなのです。
ハワイアン・サージャントは、卵を食べようと近づく魚達でも、5〜6尾ぐらいはものともせずに強烈な体当たりで蹴散らします。そこでチョウチョウウオは、30〜50尾ほどの群れをつくり、いっきに卵を襲うのです。数にものをいわせ、怒涛のごとくなだれ込むチョウチョウウオ。強烈な体当たりを繰り返し、必死に卵を守るハワイアン・サージャント。その攻防のスキをついて、横からはサドル・ラス(ハワイ固有のベラ)やヘラヤガラも卵を狙います。この魚達の戦いは、凄まじい迫力です。
集団で卵を襲っても、必死の体当たりに阻まれて思うように卵を食べられないチョウチョウウオ達は、次により効率的な方法としてダイバーを利用することを思いつきました。勇猛果敢なハワイアン・サージャントでも、巨大なダイバーが近くを通ると岩陰に隠れてしまうからです。その隙を突いて卵を狙うために、チョウチョウウオ達は群れをつくり、ダイバーと一緒に泳いでチャンスをうかがっているのです。
こうした魚達の生活は、水中が「野生の世界」であることを思い出させてくれます。ダイビングやシュノーケリングを楽しむ私達も、水中ではその一員です。だからこそ水中世界には、人工的な空間では味わえない感動があるのかもしれませんね。
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